投稿日:2015-12-26 Sat
電話のない家があった今では携帯電話の普及によって家庭の固定電話の設置数が減少している
ようだが、昭和40年代頃には電話そのものがない家庭もあった。実際、
小学4年の時の「学級緊急連絡網」には電話番号の書いていない人には
最寄りのクラスメートから点線で繋がれていて、「徒歩で」と記載され
ていたことを思い出す。
電話のない家はどうしたかと言えば電話のある近所の家に取り次いで
もらうのだ。これを「呼び出し」と言って近所付き合いが行われる。
たとえば、こんな具合だ。「こんばんわぁ~、となりの安倍ですが、
小泉さんに電話が入っていますよ」「あーら、安倍さんちの奥様、
いつもすみませんねぇ」とか言いながら小泉さんはサンダルをつっか
けてとなりの安倍さん宅の電話を使い始めるのだ。また小泉さんから
電話を掛けたい時に、近くに公衆電話があればいいのだが、ない場合
には隣の安倍さん宅に行き「あのぅ、夜分すみませんねぇ、ちょっと
電話、お借りしてもよいかしら、おほほ」「あーら、小泉さん、遠慮
なんかしなくていいんだからさぁ、おほほ」と、こんな具合に電話機
を共有化していたのだ。
もちろん、お隣さんが安倍さんのような親切でないケースもあり、
電話機のそばに 「1回10円」と書かれた貯金箱が置いてある場合
もあった。

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