投稿日:2018-07-16 Mon
勤務先のすぐ近くに、有名なうなぎ屋の老舗がある。毎朝、その店の前を通るのだが、うなぎを焼く香ばしい
煙を嗅いでは「うなぎが食べたいなぁ~」と思っている。
まぁ、うなぎを焼く匂いだけで食べた気分になろうと
貧乏人の俺はそれなりの努力しているわけだ。
そういえば、「うなぎのかぎ賃」という落語を思い出した。
男は毎日毎日ご飯どきになると、うなぎ屋の前へ出かけて
行っては腹いっぱいにうなぎのにおいを吸い込み
そのまま家へ飛んで帰ってうなぎのにおいでご飯を食べるのです。
さて、それに気づいたうなぎ屋の親父は、
「においだけで飯を食うとは、なんちゅうけちだ。
よし、あのような奴からは、においのかぎ賃を取ってやろう」
さっそく帳面につけておき、月末になると
男の家ににおいのかぎ賃を取りに行きました。
すると、けちんぼうな男は
「やい、おれはうなぎ屋に、借金をした覚えはないぞ!」
「いえいえ、これは、うなぎのかば焼のかぎ賃でございます
えーと、しめて八百文(二万四千円ほど)ですな。
においをかいでうなぎを食べたつもりになっておりますので、
こちらも食わせたつもりで銭を取りに来ました」
うなぎ屋がすましていうと、男は仕方なく懐から
八百文取り出しました。
「へい、確かに八百文。ありがとうございました」
うなぎ屋がにこにこ顔でお金を受け取ろうとすると、
男はそれを板の間へ放り投げました。
チャリーン。チャリーン。
お金が景気の良い音をたてると、男はうなぎ屋に言いました。
「においの代金は、音で払おう。今、銭の音を聞いただろう。
銭を受け取ったつもりで、帰んな!」
この勝負、うなぎ屋の負けでございます。
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